ヤマノイモやジギタリス(キッネノテブクロ)、ガマガエルの毒も、ステロイドです。
撹乱作用を利用して薬もつくられてきました。
ヤマノイモの成分からつくられる黄体ホルモン剤は、経口避妊薬ピルや、アレルギー、修原病、リューマチなどの特効薬として用いられている副腎皮質ホルモン剤の原料です。
つまり、こうしたホルモン剤は、実際のホルモンと化学構造が似ている物質を人工的に合成してつくり出し、内分泌撹乱をわざわざ引き起こして、効果を発揮するのです。
しかし、実際のホルモンをつくる力を減少ないし阻害してしまうなど副作用が問題になっています。
また、ステロイドホルモン剤は依存眠性を強めるため、いったん使い始めると、それなくしてはいられなくなる可能性があります。
したがって、多くの場合は使用に制限が加えられてきました。
スポーツ選手が陥りやすい誘惑にドービングがあります。
これも、より強い人間になろうとするために内分泌を人工的に撹乱するケースの一つです。
筋肉増強剤を例にとってみましょう。
食べ物に含まれているタンパク質は通常、胃や腸の中でアミノ酸に分解され、腸から吸収されます。
そのアミノ酸が体内でされて、筋肉になるわけです。
その際、成長ホルモンや男性ホルモンなどが働きます。
ホルモンは基本的な役割を果たしているわけです。
そのホルモンの働きを強めるために、筋肉増強剤には合成ホルモンが用いられてきました。
しかし、男性ホルモンに似た合成ホルモンを使用すると、一方で男性ホルモンの過剰状態が起きます。
他方では、もう男性ホルモンはつくらなくてよいという判断が体内で働いて、ホルモンをつくる能力を低下させます。
これが、撹乱作用です。
女性が用いると男性化作用が起き、毛深くなったり、声が低くなります。
男性では、精子をつくる機能が低下して精子数が減少するまた、間脳の視床上部にある松果体への影響も指摘されてきました。
メラトニンは、性ホルモンなどさまざまなホルモンの増減にかかわっていることなどが問題になっています。
こうした合成ホルモンは「タンパク同化ホルモン」と呼ばれ、危険性が高いことから、また、筋肉増強剤の一つメチルテストステロンでは、肝瀧屋能障害、前立腺肥大、ガン細胞の増殖などが起きやすくなります。
肝臓が冒されると、黄痕や腫傷を生じやすくなるほか、ナトリウムイオンに異常が生じるため、(細胞の外にある体液量が増加する)浮腫や心不全などの危険性もあります。
先進国では使用が制限されてきました。
ところが、発展途上国では、成育不良や栄養失調などに効果があると宣伝されて、医者向けの説明書にさえ先進国のような注意書きなどないまま、販売され続けています。
そのため撹乱され、早熟になったり乳ガンが起きやすくなります。
成長ホルモンを投与して成長を早めた牛や豚の肉が危険なのは、この点によります。
また、エストロゲンやプロゲステロンの増大と乳ガンの発生には深い関係があります。
両者は共同して乳頭や乳量、乳管などを増殖させているからです。
そのため、乳ガンの治療には卵巣や副腎、下垂体などを切除する外科療法や抗エストロゲン剤を投与する内分泌療法が行われてきました。
内分泌療法は、前立腺ガンや白血病などの治療にも取り入れられてきました。
前立腺ガンは、男性ホルモンの過剰によって起きます。
そこで1941年に、アメリカの外科一医これまでも説明してきたように、性ホルモンは細胞膜を通過してつくられた複易を核内に移動させ、DNAに働きかけてタンパク質を欲します。
したがって、その情報にわずかな遅いでもあれば、遺伝子の働きに変化を起こし、ガンを発生させる恐れがあるのです。
成長ホルモンの作用を担っているインスリン奮殖因子が増加すると、性ホルモンと成長ホルモンにかかわりがあります。
甲状腺ホルモンと性ホルモンにも、フィードバック機構の関連で密接な関係があります。
甲状腺ホルモンを一定に保つために、エストロゲンは、チロキシンというホルモンの分泌をとおして調節を行っています。
内分泌が撹乱され、このチロキシンの量が増加すると、甲状腺の異常が起きやすくなるのです。
これが妊娠中や思春期の女性に甲状腺の異常が起きやすい原因で、代表的な病気はバセドー病と甲状腺ガンです。
チロキシンの低下はまた、クレチン症という病気を引き起こす可能性があります。
これは、生まれて間もない赤ちゃんに起きる甲状腺ホルモン欠乏の諸症状です。
K大学医療短期大学部のN・Z助教授は、ダイオキシン汚染の拡大と新生児のクレチン症増加に関C・Hによって、エストロゲンを注射する治療法が試みられました。
その結果、過剰な男性ホルモンを抑制し、ある程度の効果があることが確認されています。
さらに、排卵誘発剤のクロムフェンを服用すると、複合体が長時間にわたってつくられ、核内に送り込まれ続けます。
そのため、ホルモン過剰と類似した状態になり、子宮ガンを引き起こしたり、子宮が重くなるなどの副作用が生じてきました。
副腎皮質ホルモンと性ホルモンとの間にも、密接なつながりがあります。
副腎皮質では、エストロゲンなどの性ホルモンの原料に加えて、心身のストレスに対抗するための免疫にかかわるホルモンもつくられています。
そのため、エストロゲンに似た化学物質が入り込み、性ホルモンが撹乱されると、副腎皮質ホルモンにも影響は波及して、免疫力の低係があるのではないか、としています。
一般に胎児や赤ちゃんが環境ホルモンにさらされると、成人と比べてごく微量でも影響が起きやすいと考えられています。
しかも、その影響は次世代以降にも受け継がれていく。
もう一つ見逃せないのは、複数の環境ホルモンによる複合作用です。
K大単農学部のO・R助手は、メダカにトリブチルスズとPCBを体重1キロあたり1ミリグラム含んだエサを与える実験を行いました。
その結果、どちらも含んだエサを食べたメダカは、一方だけを含むエサを食べた場合に比べて、産卵数は半減し、受精率は4割も減ったのです。
1年間にキロ近くも発生。
年間に家庭などから出るごみ(一般廃棄物)の量は約5000万トン、そのうち燃やされるのは、約3500万トンです。
しかも、この数字には、一般廃棄物の約8倍に相当する4億トンが出されている産業廃物は入っていません。
産業廃棄物がどれだけ焼却されているかは、実態が不明です。
猛毒の環境ホルモンであるダイオキシンをもっとも多く発生させているのは、ごみ焼却場です。
たがって、1年間に発生するダイオキシンの量は、換算して約8キロにもなります。
ベトナム戦争の枯れ葉剤作戦で撒かれた除草剤中のダイオキシンの総量170キロと比べても、その多さが推測できるでしょう。
ダイオキシンは、ごみを燃やす過程で、集塵器に集まる飛散灰、煙突からの排ガスのなかに発生します。
量的には燃えがらが最大で、濃度が高いのは飛散灰です。
K大学医療短期大学部のN・Z助教授は、標準的な150トンの焼却場で、もっとも毒性が強い四塩化ダイオキシン(TCDD)に換算して、一日あたり114ミリグラムが生じると推定しています。
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